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「RailsはAI時代でも、ビジネスを一番速く立ち上げられる道具」春秋CTOが語るフレームワーク選び|CTOインタビュー #1

春秋広報

2026/10/23

春秋を知る

AIがコードを書いてくれるようになり、GoやRustのような言語でゼロから作ることも、以前よりずっと簡単になりました。それでも春秋は、Ruby on RailsとLaravelを主な選択肢にしています。

なぜなのか。2013年ごろからRubyコミュニティに関わってきた共同代表・CTOのさぼさんに、お客さまにとってのフレームワークの価値と、AI時代の技術の選び方を聞きました。

本記事は、2026年10月に収録した春秋CTO・さぼさんへのインタビューを、全4回に分けてお届けする連載の第1回です。

💡この記事のポイント

プロフィール

合同会社春秋 共同代表・CTO 立花 豊(さぼ)

SIerでのJava開発を経て、ピクシブ株式会社で「BOOTH」の開発を担当。その後、フリーランスとしてRailsの受託開発を手がけ、株式会社EBILABでテックリード・アーキテクトを務めたのち、2022年に合同会社春秋を共同設立。


Rails・Laravelは「ビジネスを一番速く立ち上げる」ための道具

――AIがコードを書く時代に、春秋がRailsやLaravelを選ぶのはなぜですか?

ひと言でいうと、ビジネスを立ち上げるのに、一番速くて効率がいいからです。それは、お客さまにとってもいいことだと思っています。

Railsには、細かいことをあまり考えずにどんどん実装していけるノウハウがたくさん詰まっているので、少人数で試行錯誤する時期は速いんです。抽象度をかなり上げているので人間に理解しやすく、下回りのことを考えなくていいので、要件や仕様に集中できます。

――どんな段階のサービスに向いていますか?

立ち上げ前のビジネスは、まだ収益が立っていないので、開発にかけられるリソースが限られますよね。試作や概念検証、まだビジネスになるか分からないプロダクトマーケットフィット以前の段階なら、RailsやLaravelで作るのがいいと思います。速く、効率よく作れることは、春秋としても大事にしている考え方です。

――Laravelはどういう位置づけですか?

LaravelはPHPのフレームワークですが、Railsを参考にして作られた部分があるので、書き方がかなり近いんです。作者のTaylorも「RailsはLaravelの一番大きなインスピレーションだ」と公言しています。考え方が同じなので、RailsとLaravelのどちらを選んでも、同じように作れます。そのうえでLaravelは、さまざまな道具がそろっていますし、最近だとLaravel Cloudもとてもよくできています。


アプリの99%は、速さが問題にならない

――Railsの作者のDHHは、どんな考え方の人なんですか?

DHHは37signalsという会社を経営していて、BasecampやHEYといったサービスを作っています。

彼は以前から、ビジネスは少人数で、最高速で作るべきだと言ってきました。『小さなチーム、大きな仕事』を書いたころから、考え方は変わっていません。今はAIもあって、少人数でもすごいことができる時代です。

――DHHは、処理の速さについてはどう考えているんでしょう。

アプリケーションの99%は、処理速度が問題になりません。そこはRuby・Railsで作ればいい。残りの1%、CPUやメモリ、ネットワークといったハードウェアがボトルネックになる処理は、GoやRustの出番です。時代が変わったら道具も変える、というのがDHHの考えだと思います。

Rubyは、実行しながらメソッドを定義できるような、とても柔軟な言語です。その柔軟さがあるぶん、CやRustのように事前に全部を機械語にしておく言語ほどは速くしにくい。開発のしやすさと処理の速さのトレードオフなんです。単純な処理をものすごい量でさばくような仕事は、GoやRustが得意なところですね。


AI時代でも、Rubyは強い

――AIがコードを書くなら、どの言語で書いても同じでは?

僕はむしろ、AI時代でもRubyやRailsは強いと考えています。

人は、専門用語や文脈を使うことで、短い言葉にたくさんの情報を詰め込み、複雑な概念を積み上げて考えられるようになっていますよね。Rubyは言語としての抽象度が高く、1行あたりの情報量がとても多い言語だと思っています。専門用語や文脈をたくさん詰め込める言語は、AIにとっても、より短い文、より少ないトークンで複雑な概念を扱えるはずです。


腕を組み、考えながら話すさぼさん

長く運用するなら、「レール」がある方が安心

――AIが書いてくれるなら、最初からGoやRustで書けばいい、という意見もありそうです。

GoやRust、TypeScriptをよく分かっているエンジニアがいるなら、それを使えばいいと思います。ただ、みんながそこに行っても、おそらくうまくいかないんです。

フレームワークがしっかりしていないと、自分たちで管理するコードばかりになります。AIが書くから大丈夫と言っても、誰も読んでいないコードなので、どこにどういう影響が出るかも分かりづらい。しかも数年経てば、指示した本人も退職して新しい人に代わっていて、それが意図したコードなのか、AIが勝手にそうしたのかも判断できなくなりそうだな、と。メンテナンスできなくなると思うんです。

――5年後に、そうなっていそうですね。

そう思います。今、フレームワークなしでGoやRustで書き始めると、5年後くらいにはおそらく破綻すると思うんです。しかもセキュリティに問題が見つかったときに、書いた本人がいないとなったら、改修したくないですよね(笑)。それなら、一般的なセキュリティ対策はフレームワークに任せられるほうがいい。ルールがしっかりしていて、コミュニティでノウハウが共有されているRailsなどで書いていたほうが、まだいいのではないかと。Ruby on Railsという名前のとおり、レールが敷かれているので(笑)。そのレールに乗っていたほうがいいんです。

――組み立てる部分が少ないほうが、人間も楽ですね。

GoやRustは、Railsに比べて自分たちで組み立てる部分が多い世界なんです。家を建てるにしても、工場を建てるにしても、ネジ1本から自分たちで作っていたらキリがないですよね。Railsは、パターンがあらかじめ用意されているので、このパーツとこのパーツを組み合わせて作る、という感じです。細部はフレームワークに任せられるので、人間は「何を作るか」、つまりビジネスを構築することに集中できるんです。


大きくなったら、詰まったところだけ切り出せばいい

――では、性能が必要になったらどうするんですか?

システムの中で、処理が本当に多くてボトルネックになる部分は、いずれ出てきます。その一部分だけをGoやRustに置き換えると何十倍か速くなって、全体も速くなる。本当にパフォーマンスが求められるごく一部だけを置き換えるのが、得策だと思います。

GitHubも、認可の仕組みやGitのpush時のチェックなど、一部の処理をGoに切り出しています。「GitHubがGoに乗り換えた」と受け取られることもありますが、中心は今もRailsで、クリティカルな部分だけを特注で作った、ということなんです。

――パフォーマンスが問題になるのは、どのくらいの段階ですか?

だいぶ先です。年商10億、100億くらいまでは、Railsで十分だと思います。実際、ShopifyやGitHubくらいの規模になっても、中心は今もRailsで、詰まったところだけを別の言語に切り出しています。その頃にはエンジニアもたくさんいて、資金も知名度もあるので、必要になったときに対応すればいいだけの話です。

それに今は、一度ある言語で作っておけば、それがほぼ仕様書になるので、他の言語への置き換えは数週間でできる、という話も出てきています。

まずは抽象度の高い言語とフレームワークで作って、初歩的なミスでセキュリティの穴を突かれる、ということが起きないようにする。ビジネスの形が見えて、ユーザーが殺到したときに、問題になる箇所に部分的に対応する。それが普通のやり方だと思います。


手を組み、穏やかに話すさぼさん

春秋にとっても、無理のない選択

――春秋がRailsとLaravelを続けてきたのには、どんな背景があるんですか?

もともと東京にいた頃から、RubyKaigiなどに参加していました。最初は2013年だったと思います。そのころからRubyコミュニティに関わっていて、フリーランスの時期も、Ruby界隈の方から仕事をいただくことが多かったので、ほぼRailsで仕事ができていたんです。春秋も、その延長線上にあります。

ただ、順番としては、まずお客さまにとっての価値があって、そのうえで自分たちにとっても慣れている道具だ、ということです。

――AIで、エンジニアの技術の選び方も変わりそうですね。

AIのおかげで、新しい言語を一から覚える負担は大きく減りました。その場に合った道具をその都度選べばいいので、Rustが必要な場面ならRustを書けばいいし、多くのWebアプリケーションはRailsやLaravelでいい。GoやRustが正解という話でもないし、Railsだけで生き残っていけるかという話でもない。道具箱にいろいろな道具を入れて、柔軟に選びましょう、ということです。

そのうえで、RailsとLaravelは、やはりAI時代でも道具箱の上の方に入っている、という感じです。あれほど完成度の高いフレームワークは、そう多くありませんから。


春秋へのご相談

春秋では、Ruby on Rails・Laravelを中心に、新しいサービスの立ち上げから、長く運用されているサービスの継続開発・保守まで対応しています。「どの技術で作るべきか迷っている」という段階なら、「技術レビュー・壁打ち」や「技術顧問」といったメニューでもお手伝いしています。30分の無料相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

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